2018年度 第48回
天文・天体物理若手夏の学校



2018年7月22日-7月25日
ロワジールホテル豊橋 

[主催]
天文・天体物理若手の会

[後援・協賛]
一般社団法人 豊橋観光コンベンション協会、京都大学基礎物理学研究所、高エネルギー宇宙物理連絡会、光学赤外線天文連絡会、国立天文台、日本天文学会、日本物理学会、野辺山宇宙電波観測所、理論天文学宇宙物理学懇談会

[お問い合わせ]
ss18_info_[at]_astro-wakate.sakura.ne.jp
(_[at]_を@に変えて下さい。)

セッション

    • 講演形式は以下の3種類です。

    • ・a講演(12分間の口頭発表+3分間の質疑応答)
    • ・b講演(ポスター掲示+3分間の口頭発表)
    • ・c講演(ポスター掲示のみ)

    • a講演、b講演の口頭発表では、プロジェクターを利用しての発表をお願い致します。
    • 7分科会に分かれてセッションを行います。
      ここではそれぞれの分科会について紹介しています。

    • 重力・宇宙論分科会
      タイトル
      マルチメッセンジャー天文学の幕開け
      座長団 田中 俊行(名古屋大学 D1), 三浦 大志(京都大学 M2), 中村 進太郎(東京理科大学 D1), 橋本 大輝(名古屋大学 M2), 富川 慶太郎(立教大学 M2), 片桐 拓弥(立教大学 M2), 杉浦 宏夢(京都大学 D1), 嶋田 圭吾(早稲田大学M2), 彌永 亜矢(立教大学 D1), 松野 皐(大阪市立大学 D1)
      紹介文  重力・宇宙論分野で今、特に注目を集めているのはやはり「重力波」であろう。2016年に重力波の直接観測が初めて報告されて以来、連星ブラックホール合体からの重力波検出例は既に5例にのぼる。さらに、連星中性子星合体からの重力波が昨年2017年に初観測されたことは記憶に新しく、発生源となった天体の電磁波による多波長追観測も行われた。マルチメッセンジャー天文学がいよいよ幕を開けたのである。
       精密宇宙論の時代に生きる我々は、非常にうまく宇宙を記述できる標準的な宇宙論モデル(Λ-CDMモデル)を手中に収めている。Λ-CDMモデルに基づくと、我々の宇宙はインフレーションから始まり、ビッグバン元素合成、初代天体形成、銀河形成、宇宙再電離期を経て、現在の階層性豊かな宇宙へと発展してきたと考えられている。これは宇宙マイクロ波背景放射(CMB)や宇宙の大規模構造などの観測からも支持される有望なシナリオである。しかし、インフレーションの直接的証拠や、初期の天体形成から宇宙再電離期に至る過程、暗黒物質の存在、現在の宇宙の加速膨張など、未解明の課題が数多く残されている。加えて、重力波の観測によって一般相対論の正当性が改めて認識された反面、強重力場での現象の説明や重力の量子補正などの課題が残されている。
       重力・宇宙論分野の課題解決のためには、観測データに基づいたボトムアップ的研究と基礎理論に基づいたトップダウン的な研究の両方が必要とされている。観測面では、すばる望遠鏡のHSC(Hyper Suprime-Cam)を用いたSuMIReプロジェクトによる分光観測、SKA(Square Kilometre Array)に代表される21-cm線電波観測など様々なプロジェクトが観測的兆候を捉えるべく進行している。一方、理論面では、インフレーションや宇宙の非ガウス性に関する新しい理論モデルの開発、宇宙の構造形成の謎に迫る大規模シミュレーション、そして修正重力理論や量子重力理論のような重力理論そのものへのアプローチなど、多角的に研究が行われている。マルチメッセンジャー天文学が動きだした今、この重力・宇宙論分野の理論・観測ともに大きく発展するであろう。
       本研究会では重力・宇宙論研究の最前線で活躍されている研究者を講師として招待し、最新の研究内容とその進展について講演していただく予定である。また宇宙論・修正重力理論に興味のある学生を広く募り、研究内容を発表・議論する場を設ける。この研究会で幅広いテーマについて活発に議論し、各々の視野を広げるきっかけとなることを期待する。
      注釈 他分科会との境界線を明確に設定せず、他分野とのオーバーラップがあっても制限は設けない。

      <振り分け基準>
    • • 原則としてアブストラクトの完成度(構成、論理性、独自性などを総合的に評価)をもとに振り分ける。
    • • 完成度が同程度である場合は、M1を優先する。
    • • レビュー講演を認める。
    • キーワード 大カテゴリ:「重力理論」「相対論的宇宙論」「 観測的宇宙論」「素粒子論的宇宙論」
      小カテゴリ:「Einstein重力」「修正重力理論」「量子重力」「ホログラフィー原理」「ブラックホール」「重力レンズ」「重力波」「インフレーション」「CMB(宇宙マイクロ波背景放射)」「大規模構造」「宇宙再電離」「ニュートリノ」「21-cm線」その他
      コンパクトオブジェクト分科会
      タイトル
      物理の「目」で見るコンパクト天体
      座長団 北木 孝明(京都大学 D1), 大内 竜馬(京都大学 D1), 鈴木 遼(早稲田大学 D1), 津久井 崇史(総合研究大学院大学 M2), 財前 真理(東京大学 M2), 杉浦 健一(早稲田大学 M2), 津名 大地(東京大学 M2)
      紹介文  昨年、一大ニュースに全世界が泣いた。中性子星合体により放出された重力波の検出である。その後の追観測も見事な成功を納め、重元素の起源やガンマ線バーストの理論に制限を与えることに成功した。これはマルチメッセンジャー観測の時代が到来したことを象徴する出来事であった。
       ブラックホールや中性子星、白色矮星などのコンパクト天体はそのコンパクト性ゆえに、ミクロ(量子力学、原子核物理など)からマクロ(電磁流体力学、相対性理論など)まで様々なスケールの物理が関与し、多彩な現象をもたらす。そのような現象として、超新星爆発、ジェット、ガンマ線バースト、重力波、降着円盤、高エネルギー粒子の生成、高速電波バーストなど具体例を挙げればきりがない。今や私たちは、これらの現象を電波からガンマ線まで多波長にわたる電磁波だけでなく、重力波やニュートリノといった多くの「目」によって「見る」ことができる。実際、Fermi、MAXI、Subaru、VLBI、LIGO、IceCubeなどの既存の観測機器に加え、最近新たにNICERやTomo-e Gozenによる観測が始まった。今後はJWSTやLSST、IXPE、CTAといった画期的な望遠鏡の稼働も予定されている。
       このようなマルチメッセンジャーの時代に生きる私たちは、これまで以上に天体の多様な情報を得ることができるようになった。これらを駆使し、観測と理論の両側面からコンパクト天体現象を解明することが私たちの使命である。その足がかりとして本分科会で様々な講演を聞き、議論を重ねることでこれらの現象への理解を深め、私たち自身の「目」を鍛錬していくことが本分科会の目指す所である。またこの場を通して様々な人と交流し、今後の共同研究などへと発展すれば幸いである。
      注釈 超新星爆発や中性子星はコンパクトオブジェクト分科会で扱います。また白色矮星に関する話題のうち、激変星(新星や矮新星など)は太陽・恒星分科会で扱いますが、激変星以外の話題はコンパクトオブジェクト分科会で扱います。 活動銀河核(AGN)のブラックホールとしての挙動やジェットに注目する場合はコンパクトオブジェクト分科会で扱いますが、 AGNホスト銀河やAGNと銀河の共進化については銀河・銀河団分科会で扱います。 相対論の基礎理論に関する話題は重力・宇宙論分科会で扱います。 重力波についての話題は、コンパクトオブジェクトの天体現象としての重力波に着目したものについてはコンパクトオブジェクト分科会で取り扱います。 高エネルギー天体現象由来の高エネルギー粒子の放射・伝播・加速機構に関しては、コンパクトオブジェクト分科会で扱います Fast Radio Burstについての話題は、起源に着目したものについてはコンパクトオブジェクト分科会で取扱います。

      <振り分け基準>
    • • アブストラクトから期待される発表内容を重視して振り分けます。
    • • 同程度の内容が複数ある場合、レビューより自身の研究発表の方が振り分けの上で若干優遇されます。レビュー同士では、自身の研究目的に繋がっているような(新たな考えなどがある)場合の方が優遇されます。つまり、 自身の研究 > 自身の研究に繋がるレビュー > 単なるレビュー の順で振り分けは若干優遇されます。
    • • 以上の基準から判断して同程度の優先度だった場合に限り、M1が優先されます。
    • キーワード 大カテゴリ:「コンパクト」
      小カテゴリ:「ガンマ線バースト」「超新星爆発」「ジェット」「中性子星」「天体としてのブラックホール」「強磁場」「連星合体」「重力波」「Fast radio burst」「高エネルギー粒子」「白色矮星」
      銀河・銀河団分科会
      タイトル
      この掌にあるのは観測と、理論。最強の銀河研究がここに。
      座長団 前田 郁弥(京都大学 D1), 渡邉 翔子(奈良女子大学 M2), 平野 洸(東北大学 M2), 依田 萌(名古屋大学 M2), 伊藤 慧(総合研究大学院大学 M2), 山田 智史(京都大学 M2), 樋本 一晴(愛媛大学 M2), 山下 祐依(東京大学 M2)
      紹介文  近年の銀河研究の進展は目覚ましく、近傍宇宙から宇宙初期まで、非常に広範囲な研究分野において急速に理解が深まっている。今や、様々な大型望遠鏡による多波長観測や大規模サーベイが当たり前になっており、銀河の進化過程が多面的に調べられている。今後も更なる高感度・高分解能の次世代望遠鏡の開発によって、まだ見ぬ銀河の姿が次々と明らかになっていくことは間違い無いだろう。 一方で、高性能な計算機の発達によって、高度な理論シミュレーションも可能になり、観測の難しい小さなスケールの物理や様々な時間スケールでの銀河進化を予測できるようになった。今後、複雑系である銀河をさらに理解していくためには、観測と理論の両方の視点による相補的な理解が必要不可欠である。各分野の専門化が進んだ今日であるからこそ、銀河を多角的に捉える機会として本分科会を提供する。本分科会では、観測と理論の両面から銀河系、近傍銀河、遠方銀河、AGN 及び銀河団全般を扱う予定であり、各分野の最新の研究状況を把握できるであろう。本分科会が参加者の今後の研究活動に広い視野と深い洞察を与え、 また共に励まし成長し合える仲間と出会う契機になることを心から期待する。
      注釈 以下の項目は、銀河・銀河団分科会で扱う。
    • • AGNホスト銀河
    • • 超大質量ブラックホール、AGNと銀河の共進化
    • • 球状星団を1つの系としてみる場合など
    • • 系外銀河内の星形成あるいは銀河系内のkpcスケールに関連する星形成活動
    • • Mpc以下のスケールの構造形成について、その構造をトレースするものが銀河である場合(例えば銀河団、銀河クラスタリングなど)
    • • 銀河形成に関連するフィードバック(SN, AGN, 大質量星による輻射等)
    • • 銀河・AGN による宇宙再電離への寄与
    • • 銀河間物質と銀河進化の関係

    • 以下の項目は、銀河・銀河団分科会では扱わない。
    • • Gpc 以上の大スケールの構造形成→重力・宇宙論分科会等
    • • AGN のブラックホールとしての挙動やジェットに注目する場合→コンパクトオブジェクト分科会等

    • <振り分け基準>
    • • 講演はアブストラクトの完成度によって振り分ける。 すなわち、研究背景・独自性・具体的な結果が明記されているものを優先する。
    • • レビュー講演は可能だが、振り分け時の優先度は低い。 ただし、独自の解釈・主張がある場合はその限りではない(アブストラクトにその点を明記すること)。
    • • 基本的に M1 を優先することはないが、アブストラクトの完成度が同程度の場合は M1を優先する。
    • キーワード 「銀河系」「矮小銀河」「近傍銀河」「遠方銀河」「AGN(AGN ホスト銀河)」「銀河群/銀河団」「球状星団」「星形成(系外銀河, kpc スケール以上の系内星形成活動)」「化学進化(系外銀河, 系内 銀河の kpc スケール)」「銀河形成」
      太陽・恒星分科会
      タイトル
      汝が為に星は光る
      座長団 石川 遼太郎(東北大学 M2), 阿部 仁(東京大学 M2), 杉田 龍斗(中央大学 M2), 河合 広樹(中央大学 M2), 大西 隆平(京都大学 M2), 町田 亜希(京都大学 M2)
      紹介文  近年の太陽・恒星研究では、数多くの新しい観測が計画・実行されてきています。太陽分野では、Hinode衛星をはじめ、SDO衛星、IRIS衛星、CLASPロケットなどによる太陽表面や上空の微細構造の観測が行われ多くの成果を上げてきました。最近ではALMAによる成果も出始め、DKISTの観測開始も間近に迫っています。さらにSolar-CやPhoENiXといった次世代の衛星プロジェクトも計画されています。一方、恒星分野では、これまで可視光帯域のすばる望遠鏡やKepler衛星、X線帯域のMAXIやCHANDRA、電波帯域のVLAや野辺山45m望遠鏡などが観測に用いられてきました。加えて2017年にはX線望遠鏡NICERが観測を開始し、今後は京都大学3.8m望遠鏡やTESS衛星、ひとみ後継機による恒星観測も期待されています。
       このような観測の多様化により、太陽、恒星、さらには惑星の研究者が互いに手を取り合って前に進む時代が来ており、観測だけでなく、装置開発、理論・数値シミュレーションの総合力をもって問題の解決に挑む必要があります。
       本分科会では太陽・恒星の幅広いテーマを取り上げ、広い角度から太陽・恒星の全体像を把握することを目指します。 さらに招待講演では太陽・恒星分野の第一線で活躍されている研究者を2名招待し、最新の研究を紹介していただきます。 最先端の研究を肌で感じ、参加者のさらなる研究意欲をかきたてられることでしょう。これらの試みにより、専門分野を超えた知識の共有や新たな発見が生まれ、本分科会が日本における太陽・恒星の研究をさらに加速させるエネルギー源となることを期待しています。
      注釈
    • • 激変星(新星や矮新星など)は太陽・恒星分科会で扱います。
    • • 超新星爆発や中性子星はコンパクトオブジェクト分科会で扱います。
    • • 水素燃焼が始まる前の原始星は星・惑星形成分科会で扱います。
    • • 水素燃焼しない褐色矮星は星・惑星形成分科会で扱います。
    • • 白色矮星は太陽・恒星分科会では扱わず、コンパクトオブジェクト分科会で扱う。

    • <振り分け基準>
    • 1. 論文のレビュー公演は歓迎するが、独自の研究発表に対しては優先順位が下がる。また、レビュー公演でも独自の考察があるものは、それがないものに対して優先度が上がる。(*よって、アブストラクトの段階で研究発表なのかレビュー公演なのか明記しておくこと。レビュー公演で独自の考察があれば、その点も明記すること。)
    • 2. 基本的には低い学年を優先するが、アブストラクトの完成度も考慮する。
    • キーワード 大カテゴリ:「太陽」「恒星」
      小カテゴリ:「太陽・恒星内部」「光球」「彩層」「磁場観測」「コロナ」「太陽・恒星風」「ダイナモ」「宇宙天気」「プロミネンス」「フレア」「質量放出」「恒星大気」「主系列星」「惑星状星雲」「恒星進化」「変光星」「脈動」「磁気リコネクション」「黒点」
      星間現象分科会
      タイトル
      多波長観測からわかる、多様な物理現象
      座長団 佐伯 駿(名古屋大学 M2), 小野 彰子(奈良女子大学 M2), 平山 ありさ(奈良女子大学 M2), 金盛 祥大(東京大学 M2)
      紹介文  星間空間には、原子ガス、分子ガス、電離ガス、ダストなど様々な状態の物質が存在しています。これらはHII領域、分子雲、惑星状星雲、超新星残骸といった多彩な姿をとり、加熱と冷却、磁場、乱流、衝撃波などの多彩な物理現象の場となっています。そこでは電離や結合などの物理過程・化学過程を通して物質の状態が様々に変化します。したがって、星間現象を理解することは宇宙における物質の進化過程を理解することにつながります。そのため、銀河系内を中心に電波からγ線までの多波長で観測を行うことで星間現象を理解する試みがなされています。今後は、SKA(センチ波)、ALMA(サブミリ波)、SPICA(赤外線)、TMT(可視光,赤外線)、CTA(γ線)などの次世代望遠鏡によってさらに進展すると考えられます。また、理論分野からは高性能計算機を用いて、磁場の影響、分子雲の衝突、不安定性の非線形解析などの数値シミュレーションが行われています。多波長による観測とシミュレーションを通した理論を総合的に結びつけて考察することで、星間現象についての理解が深まり、さらにそれらは銀河進化や星形成のようなスケールの異なる現象の理解にもつながります。本分科会では、主として観測・理論を問わず銀河系内(天の川銀河)及び大小マゼラン雲の星間現象について取り扱います。招待講演では星間現象の分野の最先端で活躍されている講師の方々を招き、星間現象の面白さや最新の成果、問題点などについて講演していただく予定です。
      注釈
    • • 星形成領域、分子雲は星間現象で扱う。
    • • 分子雲コア、アウトフローは星・惑星形成分科会で扱う。
    • • 超新星自身はコンパクトオブジェクトで扱う。
    • • SNR起源の銀河系内宇宙線など星間物質に関連するものは星間現象分科会で扱う。
    • • ここで扱うフィラメントは、分子雲内の星間物質が連なることにより構成されるものを指す。

    • <振り分け基準>
    • 1. 独自の研究発表を最優先とする。
    • 2. レビュー公演の場合は、独自の解釈・主張が含まれる公演を優先する。
    • 3. 基本的に修士1年の学生の発表を優遇する。
    • 4. 修士2年以上の発表はアブストラクトの内容によって判断する。
    • キーワード 「星形成領域」「超新星残骸」「メーザー」「分子雲衝突」「惑星状星雲」「PAH」「星間乱流」「光解離領域」「CMZ」「星間磁場」「HII領域」「フィラメント」「ダスト」「HIガス」
      星・惑星形成分科会
      タイトル
      進化する星・惑星づくり
      座長団 古賀 駿大(九州大学 M2), 三杉 佳明(名古屋大学 M2), 山中 陽裕(京都大学 M2), 櫻庭 遥(東京工業大学 M2), 寺田 由佳(東京大学 M2)
      紹介文  本分科会では、分子雲コアの収縮による星や原始惑星系円盤の形成、円盤内における惑星形成に関する物理現象、太陽系内および太陽系外天体の形成史や表層・内部構造に関する研究を扱います。この分野では、観測・探査技術の進歩が著しく、赤外線・電波での観測による原始惑星系円盤の詳細な構造の検出、系外惑星大気の分光観測、太陽系内衛星の表層・内部構造の解明といった結果が報告されています。例えば、ALMAの観測によって,複数の天体に原始惑星系円盤の多重リング構造・スパイラル構造が発見されており、そのいくつかの天体では惑星の存在が示唆されています。プロキシマケンタウリ周りでの惑星検出といった太陽近傍における惑星の発見、エウロパでの水蒸気噴出の発見などが報告されています。また、1I/2017 'Oumuamuaという、太陽系外から来た可能性がある小惑星の観測によって、恒星間天体の存在を示す直接的な証拠を得たり、銀河系外に1兆個程の惑星の存在が示唆されたり、主星に対する惑星の自転公転傾斜角の測定など、現在も観測は進歩し続けています。さらに、2018年以降打ち上げが予想されているJWSTによる初代星の発見や銀河形成期における星形成に関する観測が期待されています。 
      理論研究についても発展著しく、例えば、輻射流体や磁気流体での、長いタイムスケールの三次元星形成シミュレーション、ダストの自己重力不安定性による微惑星形成モデル、原始惑星同士の巨大衝突による衛星系形成シナリオなどが挙げられます。 
       これらの観測・探査・理論研究の目覚ましい成果は相互の進展に大きく寄与することは言を待ちません。本分科会に参加される、新時代の研究を担う皆様には、夏の学校での発表や議論を通じて観測や理論といった枠にとらわれずに視野を広げ、今後の研究に役立てて頂くことを期待します。
      注釈 水素燃焼する質量の星は太陽・恒星分科会で扱います。
      サブpcスケールの分子雲コアやアウトフローは星・惑星形成分科会で扱いますが、pcスケールの星形成領域や分子雲などは星間現象分科会で扱います。

      <振り分け基準>
      自身の研究 > 自身の研究に繋がるレビュー > 単なるレビューで優先する。また、アブストラクトの完成度も重視する。 ただし、完成度が同程度である場合は、M1を優先することがある。
      キーワード 大カテゴリ:「星形成」「惑星形成」「太陽系形成」「惑星科学」
      小カテゴリ:「分子雲コア」「アウトフロー」「原始星」「太陽系形成」「前主系列星」「褐色矮星」「原始惑星系円盤」「デブリ円盤」「太陽系外惑星」「周惑星円盤」「軌道進化」「巨大衝突」「太陽系内惑星・衛星」「惑星環境・惑星大気」「宇宙生物学」「惑星・衛星内部構造」
      観測機器分科会
      タイトル
      宇宙の声を聴く
      座長団 櫻井 大樹(東北大学 M2), 三浦 智佳(茨城大学 M2), 古川 健人(東京大学 M2), 河野 志洋(東京大学 M2), 上田 翔汰(大阪府立大学 M2), 渡瀬 彩華(京都産業大学 M2)
      紹介文  今日の天文学は、電波、赤外線、可視光、紫外線、X線、γ線といった電磁波のみならず、ニュートリノ、さらには重力波といった様々な観測手段を用いて盛んに研究が行われています。観測手法の改善や進化によって新たなサイエンスが発見されており、装置開発は天文学の発展を支えてきました。近年でも新しい観測手法やCTAや TMTに代表されるように様々な波長で新しい望遠鏡の開発が行われており、観測において近い将来ブレークスルーが期待されます。しかし装置開発を行っている学生も装置開発のプロジェクトに参加している以上、開発している装置に対する理解だけでなく、サイエンスモチベーションも理解することが真に天文学のブレークスルーに貢献できると言えるでしょう。本分科会では、日本が世界に発信する最先端の観測機器の技術開発について、サイエンス、ハードウェア、ソフトウェアという3つの観点から理解を深め、互いに議論する場を設けます。開発を行う方だけでなく、サイエンスの観点でも互いに情報を共有できる場になることを期待します。是非、ご参加ください。
      注釈 望遠鏡、検出器等のハードウェアの開発および機器制御等のソフトウェアの開発に関するものは基本的に観測機器分科会で扱います。 開発する装置が目指す科学目標に話の重点をおく場合は、それに該当する分科会で扱います。 尚、本分科会は守備範囲が非常に広いため、他波長または他分科会の初学者にも関心を持ってもらえるよう、 自分の携わる範囲だけでなく装置全体のオーバービューや背景のサイエンスを含めたわかりやすい発表を強く求めます。 (同プロジェクトに関する発表は連続で発表可能なように配慮します)

      <振り分け基準>
    • 1. 自身の行った実験や評価試験の発表のみでなく、開発しているハードウェア/ソフトウェア(レビューであれば対象としているもの)の背景と新規性を理解していることを求める。
    • 2. M1の優先は行わない。
    • 3. 応募数が定員数を上回った場合、アブストラクトを参考に振り分けを行う。
    • キーワード 大カテゴリ:「ハードウェア開発」「ソフトウェア開発]
      小カテゴリ:「電波」「可視光」「赤外」「X線」「紫外線」「γ線」「重力波」その他